本文へスキップ

信州大学友川研究室

English
ー今ここにない未来は、自分で創るー

所属

友川 幸 (Sachi TOMOKAWA)

博士(保健学)
信州大学 教育学部 スポーツ科学教育
 准教授

研究分野

国際学校保健
健康教育
環境教育
エコヘルス     

キーワード:健康教育 , 環境教育 , カリキュラム開発 , 人材育成 , 学校保健政策

研究課題

開発途上国における学校保健に関する研究
開発途上国における学校保健人材の育成に関する研究
健康教育のカリキュラム開発と実践に関する研究
環境教育のカリキュラム開発と実践に関する研究
健康教育の効果評価のためのツール開発
環境教育の効果評価のためのツール開発
開発途上国の就学前教育施設における健康増進活動に関する研究
日本の就学前教育施設における健康増進活動に関する研究

所属学会

日本学校保健学会
日本国際保健医療学会
日本民族衛生学会
国際開発学会
日本熱帯医学会
中国四国学校保健学会
環境教育学会
長野体育学会
IUHPE(International Union for Health Promotion and Education )
ISHN (International School Health Netwrok)

学歴

平成13年3月 広島大学学校教育学部中学校教員養成課程保健体育専攻 卒業
平成13年4月 広島大学大学院国際協力研究科 教育文化専攻 修士課程 入学
平成17年3月 広島大学大学院国際協力研究科 教育文化専攻修士課程 修了(学術修士)
平成17年4月 広島大学大学院保健学研究科 保健学専攻 博士課程 入学
平成20年3月 広島大学大学院保健学研究科 保健学専攻 博士課程 修了(保健学)

職歴

平成14年7月            国際協力機構 青年海外協力隊(ニジェール 小学校教諭)
平成19年4月~平成21年3月  日本学術振興会 特別研究員
平成21年4月~平成21年7月  総合地球環境学研究所プロジェクト研究員
平成22年3月~平成26年3月  信州大学教育学部 助教
平成26年4月~平成27年2月  信州大学学術研究院(教育学系)助教
平成27年2月~現在       信州大学学術研究院(教育学系准教授
平成27年4月~現在       世界保健機関(World Health Organization)
                    Non-communicable Disease and Mental
                    health Prevention of Non-communicable
                    Disease HealthPromotionでコンサルタント(学校保健)

これまでの経験


 私は、日本と開発途上国の双方で、子どもの健康問題の改善の ために研究、教育、国際支援の3 つを行うことのできる人材とな ることを目指してきました。大学院の修士課程では、開発途上国での 教育開発(特に、学校保健、健康教育)を専門的に学びました。また、 在学中に国際協力機構の青年海外協力隊事業に参加し、西アフリ カのニジェールで、学校保健システムの普及、健康教育の教員研 修、教材開発等の業務に従事しました。また、博士課程では、保健学 を専攻し、在学中に東南アジアのラオスの農村部に長期滞在して、 現地の子どもの健康問題である寄生虫感染の罹患要因を明らか にするための研究・実践活動を行いました。現地の生活や文化に触れ ながら、フランス語、ラオス語および英語を習得し、現地の子ど もを取り巻く社会や文化などを包括的に理解するフィールドワ ークを行ってきました。信州大学に就職してからも、東南アジア(タ イ、ラオス)、南アジア(ネパール)、東アフリカ(ケニア)の開 発途上国において、学校保健、健康、環境教育に関する研究と実 践を行っています。具体的には、学校保健に関する政策、人材 養成、カリキュラム・教材開発、子どもの健康問題に関するアセ スメント、子どもの健康問題を改善するための疫学的研究とそれを踏まえた予防教育の開発と実施 (写真 1)、子どもから子どもへの健康関連知識や衛生習慣の獲得の必要性を普及させていくアプロ ーチ(写真2)の有効性に関する研究を行っています。 また、文末の表1 に示す通り、国際協力機構からの委託等により、現地の当該分野の研究者や政府 関係者と協力して、学校保健の政策改訂、健康教育や環境教育に関する教材開発と教員研修を行っています。またマヒドン大学やロンドン大学と協力して、学校保健活動を普及させていくために、アジア およびアフリカ地域の行政官・国際 NGO および研究者を対象とした学校保健地域研修の企画実施、 地域内での学校保健ネットワークの構築、人材養成を行ってきています。


現在の業務や研究内容

 現在は、日本の教員養成機 関に勤務し、将来、教師を目 指す学生に学校保健、公衆衛 生学、健康教育、環境教育等 を指導しています。また、ラオ ス、ケニア、バングラデシュ 等の開発途上国において、子 どもの栄養状態や成長発達状 態の把握や、国ごとに傾向が 異なる子どもの成長発達曲線 を開発することを目的として、 教員研修のプログラムや研修 用教材を含む健康診断システ ムの開発に取り組んでいます(写真 3)。また、学校での子 写真1:農村部での寄生虫感染の予防教育(ラオス) 写真3:小学校での健康診断 (ラオス) 写真4: 小学校の子どもによる水管理 (ケニア) 写真5:ゴミと健康に関する教材開発 (ラオス) 写真6:教員養成校での授業研究(ラオス) 写真2:子どもから子どもへの衛生知識の普及(ニジェール) どもを主体とした健康増進活動の効果や課題に関する研究(写真 4)、教員養成機関向けの健康教育 や環境教育の教材開発(写真5)、現地の教員や研究者との共同授業研究(写真6)などを行っています。 さらに、日本の定時制高校でのソーシャルスキルトレーニングや現職の養護教諭を対象とした健康教 育、日本の子どもたちの現代的な健康課題に対応するための教師向け講習等も行っています。

問題意識

 これまでの開発途上国での学校保健、健康教育、環境教育等に関わる実践と研究の経験から、以下 の4 つの視点に基づく研究と実践の必要性を感じています。

1)教育的視点からの子どもの実態、教師や地域住民のニーズ・課題を明らかにして行く必要性
  子どもの健康状態を効率的に改善していくためには、学校での保健活動の実施が有効であることが 指摘されてきています。そのた  め、寄生虫の駆虫や微量栄養素投与など、保健医療者の視点から「学校」 という場を利用して様々な保健サービスが提供されてい  ます。しかし、多くの開発途上国では、教育現 場の実態の把握が十分行われておらず、また統計データの不備等により子どもの健  康状態や学校現場 で働く教師のニーズ、また、地域の人々のニーズが十分に明らかにされていない現状があります。こうし た背景  の中、私自身の専門である教育分野の視点を生かして、学校保健活動のキーパーソンとなる教 師・子ども・地域住民のニーズを的  確にとらえ、「現場での実践」と「研究活動」を往還することで、 現場での活動成果や課題を集約するとともに、子どもの健康状態を  把握するための国際比較調査を実 施し、さらに、得られた成果を政策の立案や改善にフィードバックしてきたいと考えています。

2)類似した社会的・経済的背景を持つ国々で成功事例や共通課題を共有するネットワーク構築の必要性
  これまで、アジア(写真7)やアフリカ(写真8)の開発途上諸国で、行政官・国際 NGO および 研究者を対象とした学校保健地域研修
  の企画・実施、地域内でのネットワークの構築を行ってきました。 この経験を通して、開発途上諸国では、経済・人的資源が限られ  ているという共通した課題があるこ とや、経済や社会の開発状況、宗教や文化が類似している国家間では、研究や実践の成果・課
  題に共 通したものがあることを実感してきました。自身が培ってきたアジア、アフリカでのネットワークと、世 界の健康政策の立案・
  実施 を牽引する世界保健機関等の ネットワークを活用して、 開発途上諸国の学校保健の 成功事例や共通課題を共有 すること、
  また、地域間の 情報共有のためのネットワ ーク体制を構築することが できれば、今後の学校保 健活動の発展に極めて有 効であ
  ると感じています。

3)政策分析、人材養成システムの開発を行うことによる持続可能な社会体制構築の必要性
  当該分野での開発途上諸国を対象とした研究  では、子どもが抱える健康問題(寄生虫感染、貧血、 低栄養など)に焦点を当て   た研究が多く実施されています。これらの研究において、個別の健康問題の 現状や罹患に影響する危険要因が明らかにされてき
  ました。しかし、その具体的な改善には、学校保健政 策の策定および実施、またその政策実施上の課題の解明や教師の健康教育  の能力向上等による現場レ ベルでの質的改善が必要となります。また、それぞれの国で学校保健活動を担う人材を養成するシス   テム を開発していくことで、当該分野の自立的、持続的発展が期待されます。現在、申請者らは、ラオスに おいて、教育省や国立   大学の教育学部との共同取り組みにより、教員養成機関での学校保健活動、健 康教育や環境教育の導入を進めており、確かな   手ごたえを感じています。上記の問題意識のもと、学校 保健の政策分析や人材育成、そのための養成システムの開発に関わる研  究や実践が不可欠であると考 えています。

4)日本の優れた学校保健活動の経験を世界的に発信していく必要性
  学校保健法の制定をはじめ、給食、防災教育、食育、健康診断、養護教諭の配置など、日本独特の 取り組みは、日本の子どもの  健康状態の維持増進に寄与する活動であり、長寿国である日本を支える 基盤となっているといっても過言ではありません。その優
  れた実践とシステムは、開発途上国のみならず、 先進諸国に対しても、その有効性を発信していく価値が十分にあると考えていま
  す。これまでのWHO等への出向の経験で得られた経験とネットワーク生かして研究を行い、根拠に基づく実践を行う ことで世界の子
  どもの健康の改善に寄与していきたいと考えています。また、日本の強みを生かしつつ、世界の子どもの健 康の維持増進をリード
  していく学校保健、健康・環境教育の研究および実践を行っていきたいと考え ています。また、学校保健に関する有用かつ貴重な
  情報を日本から世界に発信していくことが重要であ ると考えています。

これまでの主な海外での活動





このページの先頭へ